おしえてデンシー!
遺伝のフシギ

いますぐ誰かに話したくなる、
すばらしい遺伝子の世界へようこそ!

第15回:突然変異と進化のフシギ(後編)

精子や卵子の細胞でDNAのコピーミスが起こり、親とは違う特徴が子どもにあらわれる「突然変異」。
なんだかかっこいい響きがあるけど、塩基配列が変わればカラダを構成する
たんぱく質の構成が変わってしまうということだから、
生存に不利な突然変異の場合は個体が死んでしまったりして種(しゅ)のなかで
広まることはないんだ。

生存に不利だけどなんとか生きていける程度の突然変異は、
すぐに大多数には広まらないけど、遺伝病などのかたちで代々受け継がれるよ。
19世紀のイギリス王室で、ビクトリア女王の子や孫、ひ孫に次々とあらわれた
血友病(けつゆうびょう)も、遺伝病のひとつ。ビクトリア女王の父親の精子の
遺伝子に突然変異が起き、女王は生まれながらに血友病遺伝子の保因者だったと
考えられているんだ。
※遺伝病の原因となる遺伝子を持っているが、発症していない人。

突然変異はほかに、生存に有利でも不利でもない突然変異と、たまたま生存に
有利となる突然変異があって、これらの一部は種のなかで多く受け継がれて
広がっていき、進化の原動力となるんだよ。

キリンの進化

進化って何百万年もかかるから気づきにくいけど、すべての生き物は進化の途中なのさ。
住んでいる環境が安定していれば、オウムガイやシーラカンスなどの“生きた化石”と
呼ばれる生き物みたいに、姿かたちがほとんど変わらないこともあるけどね。
それに環境が変われば、いまは不利だと思われている突然変異のほうが
生き延びやすくなることだってありえる……!
何百万年も先、ボクたちがどんな進化を遂げているか、ワクワクするね!

アレ?
そういえば、塩基がひとつだけ置き換わっているSNP(スニップ)は、
突然変異と違うのかな?
実は、種のなかでほんのわずかな数の個体に起きる変異のことをとくに突然変異といって、種のなかで徐々に広まり集団の約1%を超えると、SNPと呼ばれるんだよ。